西に来ている。
いつもよりも少し遠くに出かけると、いる場所の位置関係を東西南北で形容するのが不自然じゃなくなる感じがあって、これが好きだ。
東京から乗った東海道新幹線で、右手に富士山が見える区間があった。最初に見えた時は頂上付近が白く冷えていたが、少し行って新幹線が富士山の南側を通る時には、雪らしき白が全くなくなっていて、自分が移動しているのがよくわかった。そしてそれもすっかり通り過ぎて、浜松だ。列車を降りると、凄まじい快晴とビル群の白い壁が眩しくて目がくらむ。昨日の昼に到着して新幹線を降りた時も、今朝もだ。
昨日は『世界音楽の祭典in浜松』という音楽祭にいった。数ヶ月前に知人に勧められて、学生料金がメチャ安かった(1000円)のでノリノリでチケットをとり、何も知らないまま興味だけで来てしまった。我ながら何故そんなに惹かれたのかよく分からないけど、7時間もあるコンサートはけっこうカオスなプログラムだった。とにかく次々にあらゆる異国からのミュージシャンが来て、どんどん演奏を聴かせてくれた。いわゆるジャンルとか、国とか、色々どうでもよくなるほど、振れ幅とか混じり合ってできたような個性があって、面白かった。でも惹かれた時の期待に応えるほどの出会いはなかった。数日間滞在して、音楽祭の全日程に参加するくらいできたらもう少し別の面白みもあったかも。いろんな国の食べ物がズラリと並んだ屋台は楽しかった。一昨日の夜のプログラムと今日の夜のプログラムには普通に興味があったから見損ねてちょっとだけ悔しい。(一昨日は授業があって来ることを諦めたけど、信じられないくらいつまらない授業、授業って呼びたくない午後だったのでこの後悔は忘れたい。)来年もあるといいな。
夜はネットカフェに泊まった。浜松に来る前にネットで浜松駅付近の宿を探したが、朝食バイキングとかインテリアとか風呂がウリのちょっとリッチなビジネスホテルばかりで、お金が沢山あるわけじゃないし一晩くらい床でいいんだ…とランクを下げたら、オープンしたてのネットカフェが見つかり、そこに決めた。
ネットカフェを利用すること自体が初めてだったのでワクワクしてしまって、コンサートが終わるとすぐに向かい、かなり早めの時間に入ってシャワーを借り、5時間くらい漫画を読んでから寝た。シャワーは1人が使うごとに綺麗に掃除が入るようでとても快適に使えたし、変なBGM(有名な曲のメロディをひたすら繋ぎ合わせたようなもので笑えた)の音量が少し大きくて気になること以外は全体的にきれいで静かで、加湿器もドライヤーも無料で貸してくれたし、食事は一切しなかったけど、いくらでも長居できてしまう恐ろしい場所だという噂が本当だとわかった。居場所にしてもらった小さなブースには、正面にドンとコンピューターが置いてあって、すでにブラウザが起動してあったけど、1分くらいしか触らなかった。東京にもこういうネットカフェはたくさんあるんだろうから、浜松まで来てネットカフェの感想になってしまうのは旅行者としてどうかと思うけど、おもしろかったんだ…
自分が小柄なおかげでなんとか脚を伸ばして寝ることができたし、床はビニールだけど布団みたいにふわふわだったし、エアコンがかなり高めの温度に設定してあったので、想像していたほど悲惨な朝ではなく、でも贅沢でもなく、ちょうどよかった。体はけっこう普通に軽い。住んじゃう人がいるのも納得だ。
今日もさらに西へ向かう。
(50分くらい並んで、むつぎく、というお店で浜松餃子を食べた、とても美味しかった)