昨夜の話。
23:30
いつもより早く布団に入る。目を瞑って過ごす。明日は、さっき作った茹で卵を持って行こうとか、朝ごはんはあれを食べようとか考える。
00:00
眠れないことがわかったので、やはりいつも起きている時間には寝られないんだと思って、ロウソクだけ点けて、本を読み始める。
00:30
本をキリのいいところまで読んだので再び目を閉じる。吹き消したロウソクのにおいが好きなので、リラックスして寝られるような気がするが、なかなか寝る姿勢が決められない。姿勢を次々変えながらぼうっとする。
01:00ごろ
外で変な音が鳴っている。1秒に1回くらいのテンポで、プー、プー、という電子音。相当な音量で鳴っていて、町に響いているような印象だ。なんの音なのか全く想像がつかなくて、1秒に1回ということは何かをカウントしているんじゃないかと思い始める。こういう不安な時にいつも「時限爆弾だろうか」と考えてしまう自分が子供っぽいなと思いつつ、様子を見に行っても大丈夫なのかどうか、待っていればいずれ音が止むのかどうか、警察を呼ぶか迷いに迷う。車が駐車場を動く砂利の音や、酔っ払った人の声が聞こえるので、みんなにはこの音は聞こえていなくて、わたしの幻聴なのだろうか、という気分にさえなってくる。
01:15
変な音がやまず、全く眠れない。枕元のメガネをとってかける。窓から外の様子を見てみることにする。豊かな妄想のせいで、事件かもしれないと思っているので、ゆっくり動く。もし外から誰かに見られていても気づかれにくいように、低い姿勢で窓のそばまで行く。しばらくは何もないが、少しすると白い車がやってきて止まった。白いジャンパーを着たおじさんが出てきて、手持ち無沙汰な様子で道を行ったり立ち止まったり戻って来たりしている。それをこっそりカーテンの隙間から見て、話しかけに行っても大丈夫な人かどうか計りかねていると、別の車がやってきて、おばさんが降りてくる。どうやら知り合いらしく、笑いながら何か話している。話している内容が聞こえるかと思って、これもかなりゆっくりと窓を開けるが、内容までは聞き取れない。この時まだ、音が、自分の住んでいるマンションの北西側の壁か角のあたりから聞こえてると思っていて、死角でわたしの部屋からは確認できないあのあたりに、何か音の鳴りそうな物があったかどうか、思い出せなくてモヤモヤする。おじさんとおばさんの様子からして、事件ではなさそうだと思い少し安心する。寝られるかなと思い、窓のそばを離れて布団に戻る。
01:30
音が鳴り止まない。眠れない。嫌になってきて、音楽をかけて目を閉じることにする。それでも、音楽の音が小さくなったり途切れたりする瞬間に外からの謎の音が耳に入ってきて、かなり滅入る。明日は公演の最終日で、寝坊できない予定なのに、睡眠不足になるのは困る。
02:10
CDが一周してしまう。2枚組のライブ盤だったので、2枚目をかける。
02:30
まだ音が鳴っている。もう我慢できないが警察へ電話をかけるのも面倒なので、おまわりさんがいるかなあと期待して、駅前の交番へ歩いて行く。音はどうやら、マンションの南東側ではなく、南側の道を挟んだ向こう側にあるパーキングに停められた車から鳴っているようだとわかる。建物が密集していて、急な坂もあるので、音が跳ね返ってどこから聞こえているのか判りにくくなっていたのだろう。電子音は、鳴っている音の様子と音源の様子が見た目では結びつきにくいので嫌だなと思う。車の近くには、2、3人ほど、おそらくさっきのおじさんたちがいる。ぼうっとそれを眺めてることからして、彼らは音の鳴っている車の持ち主ではない様子。
02:35
交番には人がおらず、電話してくださいと書いてあったので、しばらくそこに立ち止まって迷う。駅前には土曜日の深夜らしく酔っ払った人や、それを商売相手にするタクシーたちがいて、あまり寂しい雰囲気ではないので、少し気が楽になる。
02:40
音が鳴っている駐車場を遠目に眺めていると、そこへ車でまた違う人物が現れて、車から降りた時に落とした何かをその場にいた何人かで探したり、音の鳴っている車になにかしたりし始める。音が止まるか、と期待するが、音の鳴り方が少し変わるだけで、あまり解決する気配がない。でも事件ではないと確信したので、うるさいけど頑張って寝ようと思い、部屋に戻る。
02:45
CDをさっきより少しだけ大きい音量でもう一度かけて、目を瞑る。好きな曲が終わる頃、音の鳴る感覚が広くなってくる。
07:30
やがて音が鳴り止んで、わたしはいつのまにか眠っていたようで、目覚まし時計で目がさめた。ずっと暗くして目を閉じたりじっとしていたので、寝不足でダルいような感触もそれほどなく、ホッとしてゆっくり起きる。
朝ごはんを食べて身支度をして家を出た。
昨晩つくった茹で卵を塩と一緒に持って行って昼に食べることにしたので、それが少し楽しみ。