インドネシア1 移動

7月25日
日本から飛行機に乗って、インドネシアのジャワ島の、ジョグジャカルタに来た。

初めて1人で海外に行くので、早朝からけっこうハラハラしていて、リアルに自分の心臓の音がうるさかった。胸と腹のあたりをドクドクと血が流れていくのを感じた。
そんな調子でいるところへ追い討ちをかけるように、成田空港が混んでいて思いのほか搭乗予定時刻ギリギリになってしまい、出国審査のゲートの向こうで最終呼び出し?ですよ、お客様〜と声をかけている航空会社のお姉さんにむかって挙手をして「はい!デンパサール行きます!」って大きい声で伝えることになって恥ずかしかった失敗①をやった。

約7時間のフライトは、本を読んだり眠ったり、近くの席の家族連れの2〜3歳くらいの女の子がメチャメチャに泣いて騒ぐのを聞いたりしていたらあっという間だった。でも、けっこう尻が痛くなったりして、体は7時間を感じていた。エアアジア機内食は買わないと無いというのが、意外と全然耐えられなくて、周りの乗客の食べる匂いにつられて、高い割に美味しくない弁当をアッサリ買ってしまった。
わたしの左隣の席をひとつあけて、そこにはお爺さんが座っていて、彼の足元には杖が横たえてあった。時々、熱心に小声で何か唱えてお祈りしていたり、わりと大きい声で通路を挟んだ席に座っている知人と会話していたので印象に残っていて、空港に降りてから見かけた時も「あの人だ」とわかったのだけど、彼は車椅子に乗っていた。健康でも足の具合が良くなかったりしても、とりあえず飛行機に乗ったら海外に行けるんだなあとシミジミ思った。

バリ島デンパサールの空港で、乗り継ぐ次の飛行機まで5時間くらい時間があった。でもそれもけっこうあっという間だった。
国際線から国内線までの移動距離がけっこうあって、でも春に旅行に来た時にも一度歩いた道なので迷わずに進めた。この旅の帰り、一番最後の飛行機だけEチケットが印刷できなかったので大丈夫なのか不安だったのを窓口で聞いたり(英語が出てこなさすぎて困ったけど「アイハブ ディス ペイパー オンリー OK?」で確認をとれた、OKだった)、本屋でバリの家屋の写真集やホコリまみれになった旅行用の小さい辞書を眺めたり、薬局でユーカリオイル?を見つけて何に使うのかiPhoneで調べたり、牛の内臓のスープ(メニューを指差して店員さんが説明してくれる中であんまりオススメしてなかったものをつい頼んでしまった)を飲んだり、本を読んだり、絶対に買わない服とか鞄とかオモチャとか香水とかを眺めたりしていたらあっという間だった。時差があるので自分の体感よりもさらに1時間長く暇だったけど、朝の成田空港の時みたいに走らなくて済んだからよかった。空港が基本的に寒い。
デンパサールからジョグジャカルタへの国内線は、さっき乗った国際線よりもちょっと良い航空会社だったので、頼んでいないけど機内食のパンが食べられた。美味しかったし、寝ていたのに隣の空いている席に置いておいてくれたのが嬉しかった。

ジョグジャカルタに着いてからが、一番未知の行動計画だったので、かなり緊張するだろと思っていたけど、疲れも手伝ってか、もはや全然ハラハラしなかった。両替も難なく済んだし、トランクも問題なく回収できたし、タクシーも事前に聞いていたやり方で予約というか前払いに成功し無事に乗り込み、夜のジョグジャカルタの町を車窓から眺めているうちに、今回お世話になるお宅に着いた。相当ほっとして泣くぐらい感動するだろうなと思ったけど、疲れのせいもあって感動どころではなかった。(大感謝をしてます)

家主の女性(日本人)と少しお喋りをしてから近所のレストランへご飯を食べに、バイクの後ろに乗せて連れて行ってもらった。 バイクのヘルメットを何故かわたしが変な付け方をしていて、そのせいでコメカミがメチャメチャにキツくて痛くて、これの持ち主の人、小顔過ぎでは?と思っていたけど途中で間違いに気づいて直した。普通の大きさのヘルメットだった。バイクの座席のふちを右手で掴んでバランスをとっていたのだけど、バイクの風のせいだけじゃないと思う、町は静かでちゃんと暗くて、とても涼しい夜だった。日本の夏よりも涼しくて過ごしやすい気がする。

レストランではさっき空港で飲んだスープの半分くらいの値段で美味しいナシゴレンが食べられた。屋台やもっと庶民的な店はさらに安いらしい。その帰りにコンビニに寄ったら、レジがトラブっていて少し待たされた。カットパパイヤとフルーツジュースを買った。わたしは今回こそ果物を沢山食べるつもりだ。南国に来たからには南国の果物を食べたいのに、台湾に行った時も前回インドネシアに来た時も、食べたには食べたけどあまり満喫しきれなかったので、今度こそと、フルーツに関しては初日から意識を高くもつことにした。


お世話になるお家はインドネシアらしい一戸建てで、床や壁が白くてかたい。天井も高い。開けないタイプの天窓もついている。
風呂はお湯が出ないしシャワーもない。風呂場の隅に設置されている50×50×100くらいの大きさのタイル張りの水槽に水を溜めて、そこから手桶で汲んで使う式だ。トイレは、和式のさらに簡易版みたいな便器が床についていて、使用後は手桶で水を汲んで便器に注いで流す、という人力水洗式だった。こういうトイレは使ったことがなかったので、最初こそ「こんなのわたしにできるのか?!」と思ったし緊張したけど、やってみたら案外なんてことない。数年前に山小屋で経験した、用を済ませた後に自転車を漕いでおが屑と混ぜる式のものよりも、ずっと分かりやすくてやってみたらスンナリ腑に落ちる仕組みだった。

わたしがお借りしている部屋は背の高いベッドがある。足の裏が真っ黒なのにベッドにあがることに、この時は気が引けていたけど、次の日にはどうでもよくなった。
そのベッドで寝ていたら夜中、否、早朝3時くらいにご近所さんのお祈りの声が聞こえてきて、目を覚ますことになった。寝ぼけていてあんまり覚えていないけど、確かに起きた。
日本とは違う国に来たなあと思った。