すげえ怒ってる

どうしても書いておきたいまとまらない気持ちなのですけど
外国人技能実習制度のこととか、入国管理局の件
 
それについて、ただでさえ憤りながらニュースを追っていたんですけど、いつもインドネシア語を教えてくれる友達が春から日本へ行くらしくて、今日その詳細を聞いたら、思いっきり件の外国人技能実習制度だった。
 
えっちょっと待って、なんていう制度で働くのか教えて、と聞いて、ハラハラしながら略称をググッて、ニュースで見慣れた文字列を確認した瞬間、顔と体がこわばってしまった。
 
彼はとても日本語が上手で賢い人だから、と、漠然と全然心配していなかったけど、日本で話題になっているほどの情報はどうやら彼のところにはそもそも届いていない。わたしが知っている範囲で話をしたところ、そんなにヒドイことがあるの?!と驚かれた。スマホで日本語のページをくっているわたしを見て「漢字が多くて難しいね…」と言っていたけど、正直いってこんなの日本人にとっても難しいです。必死で言葉を選びながら説明するわたしの様子から、マジらしいと察した彼がだんだん真顔になるのがきつかった。
 
そうしながら、ニュースで見た入国管理局の施設で亡くなった人たちの出身国に「インドネシア」の文字が(わたしの見た範囲では)ないということに、心のどこかでホッとしていた自分がいたのを思い出していた。あれはもう完全に過去のホッとになってしまった。
 
わたしは今回話題になったことで初めてこの件を知った人間で、偏った情報ばかり仕入れている可能性もある。実際、すでに先に日本で実習をしているという、彼の友達のインスタを見たところ、普通に生活をエンジョイできているみたいだった(お台場とか秋葉原とか色々遊びに行っている様子だった)。外国人技能実習制度に関しては、全部が全部、100パーセントがニュースで聞くようなヒドイ現場というわけではないようだ。でも、もし、今目の前にいるこの人が、日本に期待して旅立って、一度も帰国できない三年間の実習生活や、その後の人生までもうまくいかなくなってしまうようなことがあったら、と想像したら、怒りと心配を中心とした色々な感情で腹が熱くなった。珍しくちょっと良いコーヒーを飲んでいるのに全然味どころじゃない。
 
とりあえず「あなたには絶対に幸せになってほしい」「悪い会社には気をつけて」とどうしようもないことしか言えない自分が情けなかった。もし、まずい現場で働くことになって途中でやめて帰るためにお金が必要になったら全部わたしが肩代わりするからね!と言えるくらい、自分がお金を稼いでいたらよかった、とバカな想像をとりあえず一回した。
 
 
 
その彼は、大学でかなり熱心に日本語のことを研究していて、先々週、卒論の提出が済んだところだ。わたしは知り合ってからずっと、時々会ってはそれを手伝っていたのだけど、言葉の細かいニュアンスの違いにまで興味を持って質問されることも度々あって、細かすぎてうまく説明できず困ったこともあった。その卒論が、無事にとても良い評価を得たという報告をもらった時にはめちゃくちゃ嬉しくて、いつもはインドネシア語でやりとりをするのに日本語で散々喜んだ。彼は「働いて少ししたらまた大学に戻って勉強がしたい」とまで言っていた。こんなに真面目で賢い人が、日本の工場で、人権ゼロで、奴隷のように働かされるようなことが、あってたまるかよ。絶対許せないだろ。もちろん、全然そうと決まったわけじゃないんだけど、でも今わたしは「絶対許せない」なんて強い表現を全く誇張でなく、煮え繰り返る腹の底からここに書いている。
 
インドネシアでは高校の第二外国語の授業として日本語が選択できるようになっていたり、必修で週一の授業がある学校もあったりして、感覚的には、日本人にとっての中国語よりも身近な言語だと言えると思う。日本語の学習に関しては、先生のための日本での研修制度などもあって、日本から少なくない支援がある。そうやって、将来は日本語を使ったらしっかり稼げるぞ!というイメージを育てているのだ、日本政府が。生徒も先生も「これは日本ではいくら?」とよく聞いてくる。日本はお金持ちの国だという認識なのだ。(実際、日本とインドネシアを行き来しながら自分で立ち上げた会社でしっかり稼いでいるおっちゃんにも会った、彼は、高価すぎる故にインドネシア人がほとんど持っていないipadiphoneを持っていた)そしてその国が、以下略、だ、最低だ。
 
今晩心がぐちゃぐちゃになっている理由の二つ目がこれだ。

今まさに、わたしは、ことの一端を担ってしまっている。今日で学期末の成績も全部返されて明日から高校は休みに入るけど、一月からわたしはまたここで日本語を教える先生の手伝いをするのだ。
 
 
 
現状、今の自分には「気持ち」しかない。何ができるんだろうと考えて己のあまりの非力さにびっくりする。不安とか心配とかやりきれないナとか、色々混じった気分だけど、かなりの割合で怒っている。俺は怒っています。もうなんかねだめです、ひどい、語彙なくなる絶対に絶望しちゃだめだと思いつつもしかしあああ
 
怒りそのものについて書きだすと言葉が乱れるのであとはノートに書きます。
現場からは以上です。